この度、友情結婚いたしました。
「そんなわけっ……！」

「そんなわけあるさ。でなかったらおかしいだろ？友情結婚とか意味分からねぇし。……ふざけんなよ」


静かに言い放つと、急に琢磨は立ち上がり真っ直ぐこちらにやって来る。

「え、ちょっと琢磨？」


あさみが呼びかけるも琢磨の足は止まらず、すぐに腕を掴まれてしまった。

その途端強引に琢磨の胸の中に引き寄せられてしまう。


一瞬なにが起きたか分からなくなるも、昔と変わらないぬくもり、つけている香水の香りにクラクラしてしまい、今の状況が容易に把握できてしまった。

私は今、琢磨に抱きしめられているのだと。

「たっ、琢磨！？」


咄嗟に離れようと試みるけど、それを許さないと言うように抱きしめる腕の力を強められてしまい、身動きがとれなくなってしまう。


なにこれ、どうして琢磨ってばこんなことするの？
だって私達はもう終わったんだよね？


頭の中は一気にパニック状態に陥ってしまう。
そんな中、頭上から聞こえてきたのは初めて聞く琢磨の低い声だった。


「まどかが幸せならいいと思っていたけど、そんなふざけた結婚なら、引き下がらねぇから」


え……なに、それ。

ドクンと胸が鳴り、心臓の鼓動が忙しなくなる。


「ここで俺が引き下がったら、お前は絶対まどかのこと、やっぱり好きじゃなかったってなるはず」
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