この度、友情結婚いたしました。
「ふざけるなよ!今さらなに言ってんだよっ!まどかを手離しておいて」

「だから今度は絶対離さないって言ってんだよ!」


バチバチという効果音が聞こえてきそうな雰囲気の中、それをぶち壊したのはあさみの大きな声だった。


「はい、ストーップ!!」


家中に聞こえるような声に琢磨の力が緩んだ瞬間、素早くあさみによって引き剥がされた。

ふたりとも驚き、固まってしまっている。
そんなふたりに、あさみは怒りを露わにした。


「二十八歳にもなって、中学生みたいな喧嘩してんじゃないわよ!それにね、まどかは物じゃないのよ!?ちょっとはまどかの気持ちも考えなさいよ。ふたりとも一方的すぎ!少し頭を冷やせ!」


「あさみ……」


あぁ、この場にあさみがいてくれてよかった。春樹と琢磨の三人っきりだったら為す術なかったもの。
ふたりに啖呵を切ってくれたあさみに、じんわり目頭が熱くなっていく。


「だからバカ春樹、しばらくまどかは私の家に泊まってもらうから」

「は?なんだよそれ」

「え、ちょっとあさみ?」


突然の提案にあさみを見つめてしまうと、彼女は「いいから」と目配せしてきた。


「親友としてまどかの気持ちも聞きたいし。春樹も熱くなりすぎているし、少しひとりになって冷静になるべきだよ」

「……別に俺は最初から冷静だっつーの」
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