この度、友情結婚いたしました。
あさみが言っていることは本当なのだろうか。
琢磨が私のことを好き、なんて――。

でも好きでいてくれなかったら、今日みたいなこと春樹に言ってくれたりしないよね?

昔からいつも冷静で、弁護士になれちゃうくらい頭がキレる琢磨が、あそこまで取り乱したりしたのは、私を想ってくれているから……?


「ちょっとまどかさん。いきなり百面相し出したりして、どうなさったんですか?」

「百面相!?いや、その……!」


真顔で突っ込まれてしまうと、途端にあわてふためいてしまう。

別にやましい気持ちなんてないのに、春樹のことを好きとか言っておいて、琢磨のことを考えてしまっていたなんて、なんか……どうなの、これ!!


ワケが分からなくなり、とうとう自分で自分の頭を叩き、突っ込みをいれるという現象を起こしていると、「まさか……」の声が聞こえてきた。


「まどか、もしかして琢磨のことも気になっているの……?」


疑いめいた目で聞かれてしまうと、まるで浮気を問い詰められている気分だ。


「気になるっていうか、なんていうか……。その、昔の浮気事件のことを聞いた時は胸が苦しくなっちゃったし、今日だってなにも感じなかったか?って聞かれたら、嘘になるし……」


そもそも思い返せば、私が琢磨を嫌いになって別れたわけじゃない。

浮気されてショックで悲しくて。そして苦しいだけだった。その原因を作ったのは、元々私で琢磨も同じくらい苦しんでいたのかと思ったら、切なくて……。


「でもいくら後悔していても、もう昔に戻れないこと思っていたし、琢磨もそうだと思っていたから、ちょっとびっくりと言うか……」


正直な気持ちを並べていくと、なぜか急にあさみは立ち上がり、私の隣にやってきた。
そして腰を下ろすと、すぐに両肩をがっちり掴んできた。

「えっ、ちょっと?」
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