この度、友情結婚いたしました。
「これ、今の彼女に『最低』って言われてやられた傷なんだ。つけ爪に見事引っかかれてさ」

「アハハ」と力なく笑う春樹だけど、聞かされているこっちは全く笑えない。

「だんだんエスカレートしてきているんだ、その子。……今日も普通に帰ろうと思ったら会社の外にいるのが見えてさ。それで怖くなってまどかにＳＯＳを出したってわけ」

「出したわけって……それ、本気でヤバイ状況じゃないの」

明らかに春樹の軽はずみな言動が招いた結果だけど、さすがにその子の言動も行き過ぎている。
最初は春樹の冗談かと思ったけれど、間違いなくそれはストーカーだよ。

「おばさん達にバレたくないとか、言っている場合じゃないでしょ？警察に相談した方がいいよ！会社や家まで知られているんだから」

今はまだ春樹の周囲を探っているだけかもしれないけど、それがエスカレートしちゃったらどうするの？

「いや、さすがに警察は……」

事の重大さを理解していない春樹にカッと頭に血が上ってしまう。
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