この度、友情結婚いたしました。
「やっぱり春樹はバカでアホでどうしようもない男だよね。そんなこと言われて、素直に〝ハイ分かりました〟とでも、言うと思っているの?」


ひたすら笑顔で毒つく私に、春樹は唖然とするばかり。


「本当に暴走しまくりだから。手のひら返したように態度急変させて、いきなりキスしてくるわ良い夫演じるわ……。散々人の気持ちかき乱しておいて、今度は元の生活に戻りましょう?ふっざけるんじゃないわよ!」


声を荒げた瞬間、春樹の身体は怯えたように反応し大きく後ろに飛び跳ねた。

だけど一度溢れた怒りは抑えることなど皆無で、ひたすら春樹にぶつけていった。


「だったら最初から関係を壊しかねないことするんじゃないわよ!あぁ、でもそっか。春樹の恋愛スキルなんて所詮そんなもんよね。次から次へと相手を変えて、甘い言葉で壮大な気持ちを語るくせに、中身はすっからかんだもんね」


バカにしたように言えば、さすがの春樹もムッときたのか反論してきた。


「おい、黙って聞いてれば随分酷いこと言ってくれるじゃねぇか」

「酷いこと?なに言ってるの、私は真実を語っているだけですけど」

「なんだと!?」


いつの間にかお互い睨み合い、けなし合う言い争いが勃発していく。


「だってそうでしょ?私のこと、好きとか言っておいてこ~んな簡単に気持ち変えちゃうんだから。あんたの恋愛スキルは蟻並みに小さいのよ!」


「はっ!よくそんなことが言えたもんだ!恋愛もろくにできず枯れまくっていた女が!その末路が本当だったら、年上親父とのお見合い結婚だったってことを忘れたのか?」


「こっちは年中発情しているあんたと違って、必死に厳しい社会で生きてきたので、恋愛する余裕もなかったんです!」


「その結末が派遣切りですか?まどかさん!おかしくて笑えますよ!!」
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