この度、友情結婚いたしました。
ダメだ。顔が引きつる……!
それでもなんとか堪え、「失礼します」と下げたくもない頭を下げ、人事部を後にした。



内村まどか(うちむら まどか)二十八歳。
身長百五十六センチに標準的な体重。
パーマかかったセミロングの黒髪を、仕事中はいつもシュシュでまとめている。
歳のわりに幼く見られてしまうのが、コンプレックスだ。

そんな私は、短大在学中に必死に就職活動したものの、あえなく撃沈。
仕方なく派遣会社に登録し、それから細々と派遣社員として生計を立てていた。

だけどその生活も来月で終わり。
ついさきほど、なにかと理由をつけながら、派遣切りを言い渡されてしまったのだから。



「アッハハハハ!まどか何度目だよ!派遣切りにあったの!」

「うっさい!黙れ春樹!」

その日の夜。
憂さ晴らしに自分の部屋のベランダに出てヤケ酒をしていると、隣の家に住む幼なじみも顔を出し、いつものようにベランダ越しに飲み明かしていた時だった。
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