この度、友情結婚いたしました。
琢磨らしくない言葉にテンパっていると、彼は唇の端を上げて笑い出した。


「言ったらそうやって照れるだろうなってことも、ちゃーんと分かっていたよ」

「……もう!からかうのはやめてよね!」


おかげでドキマギさせられちゃったじゃない!
ジロリと琢磨を睨むも、なぜか彼はさらに嬉しそうに頬を緩ませるばかり。


「なんで嬉しそうなの?こっちは怒っているのに」

正論を言えば、耳を塞ぎたくなるような甘い言葉が返ってきた。


「だってさっきのまどか、可愛いなって思って」

「……っ!」

ダメだ。そんなこと言われちゃったら撃沈なんですけど。


「昔はそんなこと、言わなかったのに」


照れ隠しでボソッと言うと、琢磨はギュッと私の手を握ってきた。


「昔は思っていても言えなかっただけだよ。……でも今は言わないとダメだろ?でないとまどかのこと奪えないし」

「え、あっ琢磨!?」


そう言うと私の手を取ったまま、速足で歩き出した琢磨に身体が引っ張られていく。


「時間が勿体ないだろ?早く次のとこ行こうぜ」

「え、次って?」

「まどかが喜ぶところ」
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