この度、友情結婚いたしました。
「いやいや、全く意味が分からないんですけど。どうして私と春樹が結婚することによって、ストーカーの件が解決するのよ」

「その子は俺が結婚するのは自分だと信じ込んでいるんだ。そんな俺がまどかと結婚したら、さすがに諦めがつくと思わないか?」

なんて能天気な発想だろうか。呆れて怒りもどこかへ吹っ飛んでしまった。

「普通逆なんじゃないの?自分と春樹が結婚すると思っていたのに、裏切られた!って逆上しちゃうパターンしか思い浮かばないんですけど」

それこそ確実にあんた、その子に刺されかねないんじゃないの?

けれどさすがはどこまでも能天気な男、春樹は全くそうは思わないらしい。

「それはないって!さっきだって俺がまどかと親しげにしているところを見た途端、涙目になって逃げだしていたし。……まぁ、自宅まで知られていたから、先回りされていたらどうしようって思ったけど、それも思い過ごしだったようで、いなかったしさ」

――ん?さっき??

そういえば会社外にいたから、私を呼び出したって言っていたよね?
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