この度、友情結婚いたしました。
「うわぁ、すごい綺麗」

「だろ?マイナーな夜景スポットだけどな」


あれから琢磨が連れてきてくれたのは、東京タワー。
すっかり陽が落ちた今、都会の街並みに明かりが灯され幻想的な夜景を作り出している。


「私、東京タワーなんて小学生に来て以来かもしれない」

「えっ、そうなのか?」


これには琢磨も驚いた様子。

地元だとついいつでも行けると思っちゃって、足を運ぶ機会がなくなっていたんだよね。


「しかも夜景を見るのは初めてだから嬉しい」

「……そっか」


素直な気持ちを伝えると、琢磨の口元も緩む。


しばしふたりで夜景に視線を奪われている中、ポツリポツリと琢磨が語り出した。


「俺はけっこう来ているんだ、ここ」

「え……それはひとり、で?」

「あぁ、なにかあるとこの夜景を見に来てた。大人になればなるほど。な」


そうだったんだ……。

初めて聞く話に、口を挟まず耳を傾けた。


「勉強に行き詰った時とか、辛いことがあった時とか、悲しいことがあった時とか……。ひとりになりたいときはいつも来ていたよ」

「……そっか」
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