この度、友情結婚いたしました。
「あのさ、デートの最後にひとつお願い聞いてくれる?」

「もちろん」


そう言うと琢磨は真正面からギュッと私の身体を抱きしめた。
背中に回される逞しい腕。一瞬にして包まれる彼のぬくもりに、目を見開いてしまう。


「え、琢磨?」

裏返る声に琢磨はクスクスと笑っている。

「なんだよ、お願い聞いてくれるって言ったじゃんか」

「そりゃ言ったけどっ……」


まさかそのお願いがこれだとは思わなかったから……。
行き場のない手が宙ぶらりん状態の中、琢磨はゆっくりと話し出した。


「今度は俺が語る番。……未練がましい奴だって思われるのが嫌で言ってなかったけど、俺は別れてからもずっとまどかのことを、想っていたよ」

「――え」

「まどか以外の女と付き合ったことないし。……それくらい好きだった」


琢磨……。


初めて聞く彼の深い愛情に、涙が溢れそうになる。


どうして高校時代、気づいてあげられなかったのかな。そうしたらきっと私は今も、琢磨のことを想っていたはずなのに。

こうやって二度も傷つけずに済んだのに。

いくら後悔したってどうしようもないと理解したはずなのに、やっぱり後悔せずにはいられないよ。
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