この度、友情結婚いたしました。

「まっ、まさかと思うけどあんた、勝手に私を巻き込んでくれたわけ？」

声が震えてしまう。
けれど春樹はあどけない笑顔でコクリと頷いた。

「そういうことだ、まどか。だからもう俺達、結婚しちまおうぜ」

一瞬眩暈が起きてしまい、頭を抱えてしまう。

昔から能天気で女にだらしない奴だった。
でもどこかうまく世の中を渡り歩いている男だったし、なにより幼なじみとして、そして友達としては、最高にいい奴だったから好きだったのに……！

「春樹、初めてあんたを心の底から憎いと思ってるわ、今」

盛大な溜息と共に本音を漏らすと、春樹は急に慌て出した。

「えぇっ！なんでそうなるんだよっ！確かに今回は俺の軽薄な行動が招いた結果で、申し訳ないと思っているけどさ、結婚の話にはまどかも喜んでくれると思っていたんだけど」

「私が喜ぶ？」

どこまでも能天気でバカでアホな春樹の思考回路には、本気で殺意が湧いてくる。

「よく考えてみろよ！散々おばさん達に結婚しろーみたいに言われているんだろ？しかも今月で派遣期間も終了！そんなときに結婚の話が舞い込んできたんだ！むしろラッキーじゃん」