この度、友情結婚いたしました。
しばし笑い合っている中、突然琢磨のスマホが鳴り出した。

「あれ、なんだろ俊哉さんからだ。悪い、ちょっと出てくる」

「あっ、うん分かったよ」


そのまま琢磨は人の少ないところを探していってしまった。


気づけばいつの間にか沢山の人で溢れている。

そりゃそうだよね今日は土曜日だし。

夜景を見て琢磨が戻ってくるのを待っていようと思ったその時、急に周囲が騒がしくなった。


「きゃー！」
「わーっ！！」


次々と人が逃げまどっていく。


え、なに？


突然の出来事に唖然としてしまっている中、人混みを掻き分けて真っ直ぐひとりの女性が駆け寄ってきた。


「キャー早く逃げて！」
「刃物を持っているぞ！」
「誰か警備員さん呼んでー！！」


次々と飛び交う声に、耳を疑ってしまう。


しかも刃物を持っている女性が向かう先は、間違いなく私なのだから。


次第に見えてきた彼女の手にはしっかりナイフが握られていて、殺意を抱いた目が私に向けられている。

そのあまりの恐怖にまるで金縛りに遭ったかのように、動けなくなってしまう。
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