この度、友情結婚いたしました。
「本当ですか!?」

「はい、こちらにどうぞ」


どうやら私が待合室で眠りこけている間に、春樹は集中治療室から一般病棟に移ったらしく、505号室の個室へ案内された。


「ご主人も目を覚まされていますので、どうぞ」

「ありがとうございます」


看護士さんに頭を下げ、緊張が増す中ゆっくりとドアを開けた。


窓のカーテンは開いていて朝日の眩しさに目を瞑ってしまうも、次の瞬間目に映ったのはうつ伏せで横たわる春樹の姿だった。


「春樹……」


看護士さんの言う通り春樹は目を覚ましていて、私が部屋に入ってくるなりいつもの調子で微笑んだ。


「よう、まどか。……悪かったな、俺のせいで巻き込んじまって」


腕には痛々しく管が通されていて、うつ伏せの状態で全く動けない様子。

だけど目の前にいるのは、間違いなくいつもの春樹だった。
笑った顔も、声も、全部――。


「大丈夫だったか?……怪我はない?」

「なによ、春樹のくせに弱々しい声で人の心配なんてしないでよ……っ」


次第に視界がぼやけていく。

「まどかこそ一人前に俺を心配して、泣くんじゃねぇよ」

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