この度、友情結婚いたしました。
一歩、また一歩とベッドへと近づいていく。


「泣くに決まっているでしょうが!……怖かった。あんたがいなくなるかと思ったら、怖くてどうしようもなかった」


溢れた涙は頬を伝っていく。


「バーカ、俺だって同じだわ。……みっともなくふたりのデートを尾行していたことも忘れて、飛び出していたよ。まどかを守りたい一心で」


「なっ、尾行していたってなによ!」

「しょうがねぇだろうが!気になっちまったんだから!」


ベッドまでくると、そのまま手をつき、視線を合わせるようにしゃがみ込んだ。


「どうして気になったのよ。私のことなんて好きじゃないんじゃないの?」

「アホか。尾行するってことは好きだからに決まってんだろ?そんなことも分からないのか?」


いつもの調子で罵り合う私達。
なのに自然と怒りは湧き起らず、愛しさが込み上げてくる。


「分かるわけないでしょ?あんたの愛は分かりづらいのよ。……おまけに薄っぺらくて中身もすっからかんだし」

「なんだと!?」


「でも!……もういいよ、そんな薄っぺらくて、すっからかんの愛でも。その分私の愛は壮大で中身がぎっちり詰まっているから」


涙を拭い伝えると、春樹は目を丸くさせた。

その姿がおかしくて笑えてしまう。
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