この度、友情結婚いたしました。
「俺達の結婚は、“友情結婚”ってことにしないか?」

「…………友情結婚?」

聞き慣れないワードにオウム返しをすると、春樹はパッと離れ、名案だと言わんばかりに語り出した。

「そう、友情結婚!俺達の間にあるのは愛情じゃなくて友情だろ?」

「いや、それはそうだけど……」

「お互い恋愛感情がない方が、結婚生活もうまくいくと思わないか?いつも隣に住んでいたのが一緒に住むだけだし、なにより今更気を遣うような間柄でもねぇじゃん。おまけにお互いメリットありまくりだし!」

どうしよう……これ、本当にどう答えたらいいのだろうか。

私の目には春樹が勝手に暴走しているようにしか見えないのだけど。

「そうだとしても、春樹はそれでいいわけ?だってあんた、言っていたじゃない。四十歳くらいになったら、若い子捕まえて結婚するんだって」

それなのに私と結婚しちゃっていいわけ?……あっ!まさか頃合いを見て離婚しようとか、企んでいるんじゃないでしょうね。

疑惑が浮上し、つい彼を見る目が鋭くなってしまう。
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