この度、友情結婚いたしました。
春樹と気持ちが通じ合えた日からどれだけ経っていると思っているの?

せっかく両想いになれたのに、ずっとひとりで過ごしていたんだもの。……いくら経験の少ない私でも、さすがに気持ちの準備はできている。

むしろこの時を待ちわびていたかもしれない。


「じゃあおいで」

信じられないくらい優しい声で言うと、目の前には春樹の大きな手が差し伸べられる。


いよいよだって思うと緊張してきてしまう。
けれど、緊張よりも早く春樹と今の関係以上になりたいって気持ちの方が勝っている。


迷いなく手を取ると、春樹は軽々と私の身体を抱き抱えた。


「ぎゃっ!?」

「おい、こんな時まで色気ない声出すなよ」

急に抱き抱えられ声を上げてしまうと、春樹はクスクスと笑い出した。


「失礼なっ!それに春樹が悪いんでしょうが!急にこんなことするから……っ」


反論に出るも怒っているのは私だけで、春樹は愛しそうに私を見つめるばかり。
次第に目のやり場に困っていく。


「もうおしまい」

「え――」

そう言うと春樹は私を抱き抱えたまま唇を塞いできた。
< 354 / 379 >

この作品をシェア

pagetop