この度、友情結婚いたしました。
「私も……春樹が大好き」


今日ばかりは素直な気持ちを伝えると、春樹は嬉しそうに頬を緩ませ唇にキスを落としてきた。

角度を変えては唇を甘噛みされたり、苦しいほど求められたり。

その度に、これから春樹としちゃうんだってリアルに思ってしまう。


あれ、そう言えば私この前シたのって何年前だっけ……?

キスの最中記憶を呼び起こすも、ここ数年間はご無沙汰だったことは間違いない。


いや、それ以前に経験回数も激しく少ないよね?
それなのに大丈夫か私!?色々と間違えたりしない?……春樹をガッカリさせたりしないだろうか?

急に不安になってきてしまった。

それを感じ取ったのか、春樹は首元から顔を上げ私の様子を窺ってきた。


「どうかした?落ち着かないようだけど」

「あっ……えっと、その……」


どうしよう、前置きしておいた方がいいものなのかな?

けれどここで今さら「慣れていませんので、失礼があったらすみません」とか言えなくない?

でも言わなきゃ分からないかもだし。……なにより春樹は経験も豊富だろうし。


そう、だよね。
沢山の人と付き合ってきたんだもの。経験豊富で当たり前だ。

そう分かっているのに、胸が痛んじゃうなんて。
こればかりは仕方ないじゃない。過去を変えることなんてできないんだから。
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