この度、友情結婚いたしました。
でもそんな疑惑を遥かに上回る答えが春樹から返ってきた。

「あぁ、そんな夢はもう葬り去ったから大丈夫。言っておくけど結婚したからには、一生まどかと添い遂げるつもりだし。……それにさ、案外既婚者の方が女の子寄ってきたりするもんじゃん?」

「はい?」

「俺達、友情結婚だしお互い恋愛するのは自由じゃん。あっ!もちろんまどかも俺と結婚したからって、恋愛しちゃだめってことじゃないからな。なんせ友情結婚だ、友達として生活を共にし、お互い助け合っていこうぜ!」

固まる私の肩をトントンと叩かれるも、いよいよ言葉が出てこなくなってしまう。

なにが結婚しないか?だ。
なにが友情結婚だ!

結婚する前からお互い浮気を認め合う夫婦なんて、どこにいると思っているのよ!

冷静になってくると、怒りで再びわなわなと身体が震え出す。

「とりあえず考えてみてくれよ。どーせ明日から暇だろ?」

そして最後の彼の一言に、完全に頭の中の糸がプッツンと切れた。

「はいはい!どーせ明日から暇すぎるから、よ――く考えますよ!」

「痛っ!なにするんだよっ!」

勢いよく立ち上がり、怒りをぶつけるように春樹のお腹を蹴とばすと、当然痛がりうずくまった。
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