この度、友情結婚いたしました。
ふたりがうまくいくといいな。

心からそう願いながら、その後も他愛ない話に華を咲かせていった。



「ありがとうございましたー」

お会計を済ませ店を出る頃には深夜十二時を過ぎてしまっていた。

「だいぶ遅くなっちゃったけど、あさみ大丈夫?明日も仕事だったよね?」


今日は金曜日で私は明日から二連休だけど、あさみは出勤だ。本当はもっと早く帰るつもりだったのに、気づいたらこんな時間になってしまっていた。


「平気平気!むしろ話を聞いてもらってストレス発散になったしね。それよりまどかは大丈夫なの?遅くなっちゃって」

「こっちこそ平気。だって春樹なんて結婚当初は平気で朝方まで帰ってこなかったんだから」

あの日のことを思い出すと、今でも腹ただしく思うことがある。


「いやいや、平気じゃないようですよ」

急にそんなことを言い出したかと思えば、私の背後を指差すあさみ。


「え、なに言って――……」

言われるがまま振り返ると、そこには春樹が不機嫌そうに顔を顰めながら立っていた。

「え、春樹?どうしてここに」


唖然としていると、あさみは「旅行のお土産は忘れずに」なんて言いながら、タクシーをつかまえさっさと帰っていってしまった。

あさみが帰ると春樹はゆっくりとこちらに歩み寄ってくる。いまだに不機嫌オーラ全開で。
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