この度、友情結婚いたしました。
「え、なに?急に来たりして」


不機嫌でいられると、なにもやましいことしていなくても、つい身構えてしまう。

すると春樹は目の前で立ち止まり、コツンと額を突いてきた。


「痛っ!なんなのよ、一体!」

「アホ!それはこっちの台詞だ!夜遊びしやがって……!この不良嫁が!!」


暴言を吐くと春樹は乱暴に私の手を取り、歩き出した。

あまりの速さに足がもつれそうになりつつ、なんとか必死に食らいつく。
そしていまだに不機嫌全開の春樹に、文句をぶちまけた。


「ちょっとなに?いきなり来たかと思えば」


ちゃんと連絡したじゃない。今日はあさみと飲んでくるから遅くなるって。しっかり店先も伝えたし。
おまけにこっちは朝帰りじゃないし!……まぁ、ちょっぴり遅くなっちゃったとは思うけど。


「春樹、聞いてるの?」

さっきから呼びかけているというのに、真っ直ぐ家に向かうばかりで一言も口を利かない。

「そんなに怒ること?ちゃんと連絡したじゃない」

それでも一切無視。

「それにちょっと前の春樹ほど、遅くはなっていないつもりですけど?」


あまりになにも話さないから嫌味を言えば、やっと足を止め見下ろしてきた。

「なっ、なによ!」

文句のひとつやふたつに備えて戦闘態勢に入るものの、春樹はジッと私を見下ろしたまま。
少しすると肩を撫で下ろし息を吐いた。
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