この度、友情結婚いたしました。
「本当にこのアホまどかは……!女ふたりで飲みに行くって聞いて、心配しないわけねぇだろうが。おまけに帰り遅いし!変な男がわんさかいるんだから、少しは危機感というものを持ってくれませんかね?え?」

「いひゃいいひゃい!!」

恨みを込めて頬を抓られ、すぐにギブアップするもなかなか離してくれない。


「それに気になっちまったじゃんか。……もしかして昨日のことで、怒っているのかもしれないって」

「――へ?」

昨日のこと?それってもしかして……。

すると春樹はバツが悪そうに舌打ちし、そっと頬を離してくれた。


「悪かったよ、我慢するとか言って何度も手出したりして。でも仕方ねぇじゃん?我慢できなかったんだから」

「春樹……」


え、なに?もしかして春樹は、私が昨日のことで怒っていて、憂さ晴らしにあさみと飲みに行ったと思っているの?

なにそれ、アホすぎて可愛いんですけど。


昔の私だったら笑って「なに勘違いしているのよ」とか「本当に単純バカすぎる」なんて言っちゃうところだけど、可愛いと思えてしまうのは惚れた弱みというやつだろうか。


照れ臭そうに頭を掻く姿にも、いちいち心を燻ぶられてしまう。


だめだな、春樹が我慢できなかったように私だって我慢できなくなっちゃうよ。
気づいたら口が動いていた。


「ねぇ春樹さん、もう我慢なんてしなくてもいいと思うんですけど」

「は?」
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