この度、友情結婚いたしました。
ポカンとする春樹に一歩近づき、背伸びをして耳元で囁くように伝えた。


「場所とかシュチュエーションとかどうでもいいと思います。……私も早く春樹としたい」

「……っ!」


かかとを地面につけ見上げれば、面白いくらい街灯に照らされている春樹の顔は真っ赤に染まっている。

そんな彼にダメ出しの一言。


「それとそろそろ寝室は一緒にしませんか?できれば今夜からでも」


自分でも随分と大胆なことを言っちゃっていると思う。

けれど春樹には言わないと伝わらないでしょ?私の気持ち。


「いっ、いいのかよ。俺との初めての場所が自宅でも」


なのにこの人はまたこんなことを言ってくる。


「だからいいって言っているじゃない。それより一緒に住んでいるのに、触れてもらえない妻の気持ちをいい加減、分かってほしいのですが」


ここまで言えば伝わったでしょ?


「……じゃあ今夜ガッつくけど、それでもいいですか?」


お互い敬語で話していてなんだか笑えてしまう。

しかもなに?ガッつくって。もっと他の表現をしてほしかったんですけど。

でもまぁ……それでこそ春樹なのかもしれない。


そう思うとますます口角は上がるばかり。
私の答えを待つ春樹に、にっこり微笑み伝えた。


「どうぞ存分にガッついてください」って――。
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