この度、友情結婚いたしました。
すると春樹もまたいつもの調子で返してくる。

けれどその先は「知らない」なんて言えない。

「……私です」


そう。そんな春樹が好きなのは私ですから。

そこは素直に認めると、「ブハッ」と笑い出した。


「俺もそんなまどかが好きだよ。……つーか愛してる」

「……っ!」


不意打ちの「愛してる」は破壊力抜群だ。

それ以上なにも言えなくなってしまい、ただ春樹に与えられるぬくもりに溺れていった。


場所もシチュエーションも関係ない。
春樹の言う通りだと思う。大事なのは気持ちでしょ?

私が春樹を想う気持ちは変わらないのだから――……。



こうして無事に結ばれた私達。
あれほど春樹がこだわっていた旅先で!の話もなくなったと思っていたんだけど……。



三日後――。

「まどかー!来週の水曜から五日間旅行に行くから休みとれよ!」

「はぁ?急になに言ってんのよ。ボケるのはひとりだけにしてくれない?」

夕食の準備をしていると、帰ってくるなりアホなことを言い出した春樹にバッサリ吐き捨てる。

けれど春樹は冗談で言っているようではないようで、炒め物をしている私の身体を背後から抱きしめてきた。
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