この度、友情結婚いたしました。
番外編 「友情恋愛、始めました。」
「おい、これ見てくれよ。あのアホが買ってきたお土産」


琢磨がムスッとむくれたままテーブルに出したのは、見た瞬間笑ってしまうほどセンスのないふざけたお面。

「アハハハ!なにこれっ」


「笑い事じゃないから。こんなの何に使えっつーんだよ。ったく、旅行中こっちは仕事のしわ寄せがきて大変だったっていうのに」


目の前で疲れ切ったように大きな溜息を吐く琢磨には悪いけど、このお面だけはないわ。

さすがは春樹。お土産のセンスも春樹らしい。


春樹とまどかが新婚旅行から帰ってきて一週間が過ぎた今日。
琢磨と飲みに来ていた。


最初の頃は私から誘うばかりだったけれど、最近では今日みたいに琢磨から誘ってくれることもしばしば。


ただ会って飲んで、お互い仕事の話やまどか達の話に愚痴なんかを言い合って、笑い合うだけだけど、それでもこうやって琢磨とふたりっきりで会える時間は特別で、一緒に過ごせるだけで幸せだった。


いまだにお面と睨めっこしている琢磨に、そっと問いかけた。

「まどかも驚いていたけど、いつの間に春樹と仲良くなっちゃったわけ?」

あれほど犬猿の仲だったというのに。
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