この度、友情結婚いたしました。
つい昔からのよしみで愚痴を零すように今日のことを話せば、コイツは大きな声を上げてお腹を抱えて笑い出したのだ。

「二十八歳にもなって派遣切りって……お前、やばくね?」

「本当にもう黙ってくれないかな?」

鋭い視線を送っても、奴はひたすら笑い続けている。


大沢春樹(おおさわ はるき)二十八歳。

家が隣同士で同い年で、生まれた時からずっと一緒に育ったと言っても過言ではない。

お互い一人っ子で両親同士も仲がよく、本当に兄妹のように育ったのだから。

そんな春樹は昔からなんでも器用にこなすタイプで、そこそこいい高校・大学に進学し、今では誰でも知っている銀行で働いている。

身長百七十五センチ。男にしては少しひょろくて、本人は筋肉がないことを非常に気にしている。
だけどそこそこ男前で、昔からなにかとモテていた。

中学までは一緒だったけど、高校からは別々。
それでも家が隣同士で、お互いの部屋が向かい合っていて、ベランダからお互いの部屋に行けてしまうくらい近くて。
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