この度、友情結婚いたしました。

「おはよう、春樹」

状況を掴めていない彼にニッコリ微笑むと、私が手にしていたものを見るや否や、声を荒げた。

「なっ……！おいまどか！まさかそれをさっき吹きかけたのか！？」

「当然。引っ越してきたばかりだっていうのに、不快な匂いが充満していたから除菌したの」

「除菌って……！お前なぁ」

淡々と理由を述べると、どうやら二日酔いで頭痛が酷いのか頭を抱え込んだ。

「いい？ここは春樹だけの家じゃないの。二度とリビングで不快な匂いを纏ったまま寝たりしないで！」

指をさして言うと、さすがの春樹も言い返せないようで「悪かった」と謝ってきた。

「それと今日は仕事が終わったら、真っ直ぐ帰ってくること」

「はぁ？なんでだっ……！」

「共同生活をする上で、事細かに決まり事を話し合うためよ、分かった！？」

声を遮り、有無を言わせぬよう強く言うと、春樹は納得していないと言いたそうにしながらも、「分かったよ」とぶっきらぼうに返事をした。