この度、友情結婚いたしました。
「ごめんね、急に笑い出しちゃって。……じゃあとりあえず研修期間は三カ月ってところでどうかな?時給は……うーん、おいおい話そうか。あっ、その前に履歴書いいかな?」

「あっ、はい!」


一気に色々言われてテンパるも、肝心な履歴書をいまだに出していないことにハッとなる。


そうだよ、履歴書を出さないことには何も始まらないじゃない。


慌てて鞄の中から履歴書が入って封筒を取り出し、青葉さんに渡した時だった。


「ただいま戻りました」


聞こえてきたのは、ドアが開く音と男性の声。


「あっ!たくちゃんだ、おかえりなさーい!」


まるで家族を出迎えるように立ち上がった真希さんを、目で追うように視線を男性の方へ向けた瞬間、目を見張ってしまった。


「どうだった?裁判の方は」

「楽勝でした。完全勝訴ですよ。……ッとと、すみません、お客様いらしてたんですー……ね」


男性が瞬きもせずに目を見張る私を捉えた瞬間、声を失っていく。

そして私と同じように驚き、固まってしまった。

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