わたしは年下の幼馴染に振り回されています
 わたしはイスに座ると、短く息を吐いた。

「先輩は戻っていても大丈夫ですよ。俺がついてますから」

「大丈夫だよ。まだ時間あるもの」

 保健室か。わたしは至って健康体だからか、あまり保健室に縁がなかった。幸い、保健室の鍵は既に開いており、先生の姿があった。

 本田さんは言葉を交わすと、ベッドまで連れて行かれていたのがちょうど今だ。

「あなたたちは教室に戻りなさい。少し休ませると伝えておいて」

 保健の先生はベッドを指さすと、微笑んだ。

 わたしたちは保健室を出て、教室に戻ることにした。

「あなたは本田さんと仲がいいんだね」

「だって俺と翔子は」

「お前たち、もうすぐホームルームが始まるぞ」

 そう言いかけた彼の言葉は階段の近くにいる先生の声にかきけされた。

 わたしと彼は顔を見合わせ、今は教室へと急ぐことにした。
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