わたしは年下の幼馴染に振り回されています
 教室内には多くの人が溢れていた。席に着くと、里実が肩越しに振り返る。

「本田さんが倒れたらしいけど、大丈夫?」

「保健室で休むんだって。どうして?」

「拓馬君が言いに来てくれたの」

「そっか」

 わたしは彼女のことが気になり、拓馬に本田さんが戻ってきたら教えてほしいとメールを送ることにした。

 拓馬に送るはじめてのメールがまさか彼女の状況を知らせるものになるとは思わなかった。

 そのとき教室の扉が開き、担任の先生が中に入ってきた。





 拓馬からの返事が届いたのはお昼休みだった。まだ戻ってきていないらしい。体調がよほど悪かったのかもしれない。

 私はお弁当の蓋をあけたが、食欲がわかなかった。

 あの子は大丈夫なんだろうか。

「本田さんのことを気にしているの?」

 里実がお茶のパックにストローを差し込みながら聞いてきた。
 わたしは頷く。

「飲み物をかってくるよ」

 お弁当の蓋をしめると、鞄から財布を取り出した。そして、教室を後にした。
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