わたしは年下の幼馴染に振り回されています
 昼休みに入って時間が経っていたからか、自販機の前には数えるほどしか人がいなかった。

 わたしは目的のジュースを買うと、教室に戻ろうと足を踏み出す。

そのとき、目と鼻の先にある保健室が目に飛び込んできた。

 少し顔を出すだけでも嫌がられるのだろうか。あの子にあまり好かれてはいないということは自覚していた。

 保健室の前まで行き、顔を出すか決めよう。そう思い、保健室の前まで行く。どうしよか迷っていると扉が開いた。本田さんはわたしと目が合うと目を見張った。

「何をしているんですか?」

「大丈夫なのか心配になって」
「大丈夫です。ご迷惑をおかけしました」

 彼女は膝に手を当てると頭を下げた。

「飲み物いるなら買ってくるよ」

「でも」

「いいよ。どうせ近いもの」

「じゃあ、お茶をお願いします」

 慌てて保健室の中に戻ろうとした彼女を引き止める。お金は後からでいいと伝えておく。

 わたしは彼女から頼まれた飲み物を購入し、保健室に戻る。

彼女は律儀にも扉のところで待っていてくれた。お金を取ってくると言い残すと、保健室の中に入っていく。

わたしもそんな彼女に続いて中に入る。保健室の中には彼女しかいないようだった。
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