わたしは年下の幼馴染に振り回されています
 彼女の手にはスーパーのビニール袋が二つほど握られていた。

そこには野菜や調味料などが詰め込んであった。それをみて、彼女が一人暮らしであることを思い出していた。

「家はこの辺りなの?」

 彼女は頬をわずかに膨らませ、顔をそむける。だが、その頬が夕日のためか赤く染まっているような気がした。

「そうです」

「それなら荷物を持つよ」

「いいですよ。悪いし」

「でも、体調が悪いときはお互い様だし」

 そう言い張るわたしを拒否するのが面倒になったのか、彼女は深々とため息を吐くと、ビニールを差し出した。

彼女が渡した荷物は意外と重く、一気に荷物の重さが倍になる。

「家はどの辺り?」

 彼女はあるマンションの名前を告げる。そこはわたしの家から歩いて五分ほどの場所だ。

ここから歩いて十分はかかる。ますます彼女を一人で帰らせるわけにも行かず、並んで歩く。

 昨日に比べ明らかに血色が悪く、足取りも重く見えた。

「体調はどう?」
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