わたしは年下の幼馴染に振り回されています
 彼女の顔が青ざめているのに気付いた。彼女は今日一日体調が悪くて保健室で寝ていたことを思い出したのだ。

「体、大丈夫?」

 彼女はソファに座ると、唇を軽く噛む。

「大丈夫といいたいところですけど、あまりよくないかも」

「部屋で眠る? わたし、帰るから」

「今、帰ると大変そうですよ。気にしないでください。折角お茶も入れたんだし」

 彼女の入れてくれた紅茶を口に運ぶ。彼女は肘を黒いテーブルにつき、右手の指先で額を抱え込んでいた。

「少し横になる?」

 紅茶にも口をつけようとしない彼女を見て、そう声をかける。

「そうします」

 今度は反対することなく、ソファに横たわる。彼女は長い睫毛をはためかせ、天井を仰いでいた。

「どこか体でも悪いの?」

「そういうわけではないんですが。貧血気味だって言われました」

「貧血って」

 そう口にして思い当たらないことはない。今日の昼のことだ。朝も夕もそんな感じだったら、貧血になってもおかしくない。
< 130 / 243 >

この作品をシェア

pagetop