わたしは年下の幼馴染に振り回されています
 静かな寝息が聞こえてきた。

 眠っている彼女を起こすのも気が引け、窓から雨が落ちていく様をただ眺めていた。

 彼女の体が再び震えたのはそれから一時間ほど経った頃だった。

体をびくつかせると、ゆっくりと体を起こす。

そして、半開きになった目で、室内を見渡していた。その彼女の視線がわたしと目が合うと一気に見開かれる。

「ごめんなさい。わたし、眠っていて」

「いいよ。無理に上がりこんだのはわたしだし、雨にもぬれなくて済んだもの」

 わたしは窓辺を指さす。

 彼女は窓をちらりと見やると目を細めた。

 彼女は玄関まで見送りに来てくれた。

「お茶、おいしかった。ありがとう」

「お母さんがよく送ってくるんです。よかったらまた来てくださいね」

 その言葉に甘えていいのか、社交辞令なのか見極めることができずに、彼女の言葉にうなずいていた。

扉を開けると、春先にしては冷たい空気が頬を掠めていく。さっきの雨で風が冷えてしまっていたようだ。

「またね」

 彼女に頭を下げると、足早にここを去ることにした。
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