わたしは年下の幼馴染に振り回されています
「拓馬なら、少し席を外していますけど」

「拓馬じゃなくて、本田さんに」

「翔子に? どうかしましたか?」

 そういえば前も名前で呼んでいた気がする。

「市井さんは本田さんと仲がいいの?」

「仲はいいですよ。友達とは違うけど」

「本田さんにこれをあげようと思うんだけど、どうかな」

 彼に鞄から取り出したハーブティを見せる。

 市井さんはそれを不思議そうに見る。

「あの子、貧血気味だったから、こういうのを飲んでみたらどうかなと思ったの」

 市井さんは朗らかな笑みを浮かべる。

「坂木先輩ってやっぱり拓馬の言っていた通りの人なんだね」

 わたしは意味が分からず、首を傾げた。

「すごくいい人だってこと。翔子のこと、呼んでくるよ」

「わたしが行くよ。外にいるの?」

 彼は頷いた。

 わたしたちはそのまま階段をおり、外に出ることになった。

 人気が減り、わたしは気になっていたことを聞いてみることにした。

「本田さんとどういう関係なの?」

「遠縁の親戚」
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