わたしは年下の幼馴染に振り回されています
 その彼女の言葉が止まる。彼女はわたしを見ていた。そして、頭を下げていた。

「体調は大丈夫?」

「大丈夫です」

 彼女は僅かに笑みを浮かべていた。

「坂木先輩が翔子にあげたいものがあるんだってさ」

 わたしがどう切り出そうか迷っていると、彼はそう翔子に告げた。翔子は目を見張る。彼女の瞳に自分の姿を確認し、ドキッとする。

「あの、これなんだけど」

 彼女はそれを受け取ると、中身を覗き、首を傾げていた。

「これは何の意味があるんでしょうか?」

「翔子がろくに料理もせずに貧血気味になっているのを心配したんだってさ」

「え?」

 そこまでは言っていないのに。

「飲まないなら捨ててくれてもいいから。少しでも楽になればいいなって思って」

 彼女はため息交じりにわたしを見た。

「本当、バカなんですね。わたしには絶対に真似できません」

 彼は僅かに肩をすくめ、わたしを見た。彼女の言葉を真に受けないで欲しいという気持ちが込められていたのだろうか。

だが、わたしにもそれくらいのことを理解することはできた。彼女の頬が赤く染まっていたからだ。
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