わたしは年下の幼馴染に振り回されています
 わたしはそう言ってくれた翔子に会釈すると、家の中に入った。

 玄関先には見慣れない黒のスーカーがあるのに気づいた。リビングを除くと、細身の女性が椅子に座っていたのだ。

「万里さん」

 わたしは思わず彼女の名前を呼ぶ。

 彼女はわたしを笑顔で迎えてくれた。長いまつげに通った鼻筋。化粧っ気もなく綺麗な肌。

澄んだ目に、はっきりとした二重の瞳。彼女のパーツを一つずつを挙げても全体を見ても褒め言葉しかでてこない。

周りの注目を浴びるほどの目立つ容姿は母親のものを部分的に遺伝させていたのかもしれない。

「早く着いて、まだ拓馬達も学校だろうし、ここで一息つくことになったの。学校が終わったら拓馬が迎えに来てくれるらしいわ」

 拓馬という言葉を聞き、心臓の鼓動が乱れた。そんな自分に抵抗を感じながらも平静を取り繕う。

「そうなんですね。荷物を置いてきますね」
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