わたしは年下の幼馴染に振り回されています
 拓馬が来たら母親は絶対にわたしを呼び出すだろう。その前に洋服を着替えておこうと思ったのだ。

 だが、廊下に出たわたしの耳にチャイムの音が届いた。

一瞬、自分の服を見て躊躇ったが、玄関のドアを押す。すると、そこには目を見開いた拓馬の姿があったのだ。

遅れてインターフォンを通じた母親の声が家の外から聞こえてきた。

「開けちゃったのね」

 あきれたような母親の声が後方から聞こえてきた。わたしは自分の行動を恥じ、後方に戻る。

 母親が早速やってきた。

「よかったら寄っていけば? 久しぶりよね」

 その言葉に拓馬のいい返事を期待する。だが、彼は浮かない表情を浮かべたままだった。

「いえ、今日は失礼します。また今度」

 いつの間にか外に出てきていた万理さんが靴を履く。

「またお邪魔するからそのときにはゆっくり話しましょう」

 わたしはそういってくれた二人を見送った。

 拓馬と話をしなかったことにほっとしながらも、どこか寂しかった。

「おばさんはいつまでいるの?」
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