わたしは年下の幼馴染に振り回されています
「とりあえず一週間くらいをめどに考えているらしいわ。話によってはこっちに戻ってくるんだって」

「そっか」

 先にリビングに入った母親を見送り、扉を閉めた。千江美に振り払われた手をじっと見て、あのときの彼女を思い出していた。



 重い体を起こすと、腕を上に伸ばした。起きて真っ先に携帯を見た。

いつもはそこまで携帯のことを気にしていないが、彼女をどうするかという話し合いが行われるということを気にしていたのだ。

わたしに知らせてくれるわけもないのにと軽く自分をいさめ、時刻を確認すると苦笑いを浮かべた。

もう時刻は朝を周り昼前になっていた。昨日眠ったのが遅かったからだろうか。

 のどの渇きを覚え、階段を下り一階に行く。だが、扉を開けたとき、思わず足を止めていた。

「おはよう」

「どうして?」

 人気のないリビングに白いシャツを着た拓馬がいたのだ。

「今日は母さんが千江美と一緒に買い物にいくらしいから、たまには会いたいなと思ってやってきたんだ」

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