わたしは年下の幼馴染に振り回されています
 そうさらっと言ってしまうのが拓馬。だが、それを拓馬を好きな人が聞くと、ただ複雑なだけなんだろう。

「大丈夫なの?」

「母さんがたまにはって言ってくれたから大丈夫だよ。今まで土日も毎週出かけていて、休んだ気がしなかったんだよね」

「何かあったの?」

「千江美がさ、毎週、あれがほしい、これがほしいと言って付き合わされてばかりだったよ。実際何かを買うことはなかったんだけど。一人で出かけるのが嫌なのかと思えば、しょっちゅう一人で出かけていたりもしたし」

 その言葉に胸が痛む。拓馬と一緒に出掛けたかったんだろう。

「どうかした?」

「なんでもない」

 彼女なりに真剣なのかもしれない。従兄妹であれば恋仲になることはありえないことではない。法律では何ら問題がないのだ。そこに互いの気持ちがありさえすれば。

「でも、誰もいないの?」

「おじさんたちは買い物で、奈月は部屋」

 恐らく両親が買いものにいったあと、奈月が部屋に戻ったんだろう。

 一応、テーブルの上には湯呑が置いてある。拓馬のために出したのだろうか。

「おかわりいる?」
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