わたしは年下の幼馴染に振り回されています
 彼の足がふととまり、ある一点を見つめていた。そこは雑貨などが売っている店だった。

「見たいの?」

「再来週、千江美の誕生日なんだ。あいつの誕生日プレゼントを買いたいんだけどいい?」

 あいつという言葉にドキッとした。拓馬との距離を感じた直後に、彼にとってそういう女の子はわたしや奈月だけではなかったと教えられたからだ。

 店の中に入ると、彼は真剣に物を選んでいた。

 従兄妹だとしても、いつも彼がわたしを優先してくれたからか、わたし以外の子のことを必至に考えている彼を見ると少しだけ嫉妬してしまっていた。

「どうかした?」

「何もないよ」

「美月はどういったものがいいと思う?」

 わたしに対する彼女の敵意のまなざしを思い出しながら、店内を見渡した。

 奈月にあげるものならいくらでも思いつくのに、彼女にあげるとなると何を選んでいいのか分からない。

 きっと彼女にとって何をもらうかではなく、拓馬に選んでもらったことが何より大切なのだろう。
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