わたしは年下の幼馴染に振り回されています
「何でも嬉しいと思うよ」

「そう言われてもね」

「じゃあ、彼女の部屋にあるものとかは分かる?」

「ぬいぐるみかな。ベッドとか机の上とかにたくさん置いてあるよ。ばあちゃんがよく買ってくれたんだってさ」

 さっき感じた独占欲を申し訳なく思いながら、店内に陣取っているぬいぐるみの群を見つけた。

「あそこから選べばどうかな? きっと喜ぶと思うよ」

 彼とそこまで行くが、難しそうにそれらを見つめていた。

「どれがいい?」

「拓馬が選んだほうがいいよ」

「ウサギと、クマと、ブタと、ネズミはどれが好き?」

「クマかな。でも拓馬が決めたほうがいいよ」

 彼は結局、最初に選んだウサギをレジに持っていく。

 だが、戻ってきた彼は二つの袋を持っていた。そのうち、小さな袋をわたしに渡す。

「お礼」

 彼の許しを得て袋を開けると、小さな熊のぬいぐるみが入っていた。

 だが、そっと握りしめると、拓馬にお礼を言った。

 わたしたちはそれからてきとうにふらふらし、日が落ちる前に天気が悪くなってきたこともあり、帰ることになった。
< 181 / 243 >

この作品をシェア

pagetop