わたしは年下の幼馴染に振り回されています
 夏休みが終わった。のどかだったクラスの雰囲気も徐々に変わってくる。

 だが、今のわたしに周りを気遣う余裕はなかった。

 今まで見た事のないアルファベットの表示に固まっていたのだ。

「はっきり言っていいのか分からないけど、かなりやばくない?」

 わたしのことを考えてくれたであろう台詞に状況を自覚し、顔が蒼くなる。

 勉強はしていたはずだった。だが、目の前に現れたのは今までとは比べ物にならないほど悪い模試の結果だ。

「どうしよう」

「きっと知らないところが出ただけだよ。ここを抑えていけば大丈夫。間違っているのは暗記系ばかりだもん」

 わたしの台詞に戸惑ったのか、里実はさっきとは百八十度違う意見を述べた。

 勉強はしていた。だが、それは時間だけで集中力がついてこず、割りの悪い勉強となってしまっていた。その原因も分かっている。

 拓馬がほかの人と一緒にいたということがちらつき頭から離れなかった。なんでも言えると自負していたのにも関わらず、肝心なことを言い出せないままだ。



「まあ、頑張ろう。あれだったら休み時間とか、放課後とか教えるから声をかけてね」

 以前のわたしのように余裕で合格圏内だった彼女の言葉に、わたしは力なく頷いた。
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