わたしは年下の幼馴染に振り回されています
 「何かあった?」

 眉根を寄せわたしの顔を美しい顔が覗き込む。思わずのけぞり、後ろに歩を進める。

「なにが?」

「様子がおかしいから」

 取り繕ってごまかそうとしたが、彼はじっとわたしを見つめる。

「テストが返ってきたんだけど、ものすごく悪かったんだよね」

「そんなに悪かった?」

「すごく」

「もしかして邪魔した?」

「そんなことないよ。わたしのせいだもん」

 問題はわたしの中にある。

「これからは少し控えるようにするよ」

「大丈夫だよ。家で勉強する」

「大学入ってからなら余裕できるだろうから、それから遊ぼう」

 彼は明るく笑う。

 わたしは彼の言葉に頷いた。

 これだとどっちが年上なのか分からない。

「拓馬は成績とか平気なの?」

「普通に」

 悪いと言わない彼は以前の成績を維持しているのだろう。

「しばらくは勉強だけに集中するようにする」

「そんなに集中できないことがあったんだ」

 彼は少し気になるのか、わたしをじっと見る。

 そんな彼に笑い、わたしは心を決意した。
< 214 / 243 >

この作品をシェア

pagetop