わたしは年下の幼馴染に振り回されています
 わたしは部屋に戻り、コートとマフラーを着こむ。そして、母親からお金を受け取り、靴を履く。

 そして、外に出ると手を頭の後ろで組み、体を伸ばす。

 冬の直前の冷たい風が疲れた頭をひんやりと冷やしてくれた。

 学校とは違う方向に歩き出す。

 この近くにあるスーパーがある。いつもそこで母親は買い物をすませているのだ。

 信号を渡り、まばらに車が止まった駐車場の脇を抜けていく。

 そして、お店の中に入ろうとしたとき、わたしの足は止まる。

 わたしをそうさせたのは入口から少し離れた場所にいる男女の姿が目に入ったからだ。

 長身で顔立ちの整った男の人と、もう一人は知らない人だ。

今日、帰りがけに見た人とも違う。

ショートカットで長身の白いシャツにジーンズの女の人だ。彼女と拓馬が目を見合わせ、笑う。


 彼女の細い手が拓馬の頭に触れる。

 拓馬の顔が赤くなる。そして、腕をぴんと伸ばし、何かを彼女に言う。

 わたしの知らない人だった。


 拓馬の友達かもしれない。そうやってスキンシップを取ってくる人も少なからずいる。

 だが、拓馬のそんな姿を今まで見たことがなかった。

 わたしは首を横に振り、唇を噛むともう一つの入口からスーパーに入ることにした。

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