わたしは年下の幼馴染に振り回されています
 心の中にもやもやとしたものが湧き上がり、何もいえなくなる。

拓馬にとってはわたしはその程度の存在なのだと教えられた気がした。

別にそれはいい。だが、あんなことをしておいて、それはないんじゃないかという気がしなくもない。

 明るい表情を浮かべている拓馬を睨む。

「なんでこっちの高校に来たの?」

 想像より荒っぽい言葉を投げかけていた。

自分の寂しい気持ちを言葉でぶつけてしまい、嫌な気持ちになる。

年上のわたしがこんな態度をとってはいけないのに、と思ってもついそうしてしまっていたのだ。

 拓馬の目に動揺がうつる。

 突然こんなことを言われるとは考えてもみなかったのだろう。

 なぜこんな言い方をしてしまったのだろう。

 必死に強い言葉の言い訳を模索していたとき、拓馬がくすりと笑うのが分かった。

「いろいろあるけど、一番の理由は美月に会いたかったから」

 わたしは顔が赤くなるのを感じながら、拓馬を見た。

 拓馬の笑顔に胸が高鳴るのが分かった。
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