わたしは年下の幼馴染に振り回されています
「何言っているのよ」

 さっきの反省を払いのけてしまうような、かわいくない、強い、相手を跳ねのけるような言葉。

わたしは顔が赤くなるのを自覚して、顔を背けた。

今はそう反応するので精一杯だった。今の心の戸惑いを気づかれたくなかったからだ。

 拓馬にどきどきするなんて間違っている。

「だって昔と全く変わってないからさ。俺の気持ちは」

 少し低くなった声がどことなく、心地よくて、現実味のないものに変えている。

彼から好きだと言われたことは一度や二度ではない。

けど、落ち着いた声がその言葉を初めて聞く言葉ように変えてしまっていた。

だが、それでも子供のころの、何度も言われた言葉を思い出し、彼の言葉がどこまで本当のことなのかわからなくなる。

「拓馬は変わったよね?」

「そっかな」

 そういうと、やさしく笑う。

 そんな表情を見ていると、大人になったとわかった。

「学校は高等部からだよね? 慣れた?」

「まあ、そこそこ」

< 41 / 243 >

この作品をシェア

pagetop