わたしは年下の幼馴染に振り回されています
「電話が嫌だったわけ?」

「別に」

 軽く返答する。いくらなんでも電話にでただけでそんなに嫌な気持ちになることはない。

「女の子から電話がかかってきてよかったじゃない。彼女?」

 そんなことはないと心のどこかで思いながらも、乱暴な言葉を投げかけていた。
 そのとき、階段を下り終わる。

 彼からはっきりと違うという言葉が聞けることを期待していたのかもしれない。だが、期待した返事はすぐに聞こえてこない。

あまりに黙っているのが気になり、振り向いていた。

拓馬はわたしと目が合うと、いたずらっぽく微笑んでいた。

「知りたいんだ?」

「別に」

 わたしは顔を背けていた。拓馬がくすっと笑うのが分かった。

見透かされていたのだ。しまったという気持ちはある。

だが、素直に認めることはできない。

「昔から美月は分かってないよね」

 聞いた答えどころか、終いにはわたしを非難するような言葉をぶつけてきた。

 そんな彼の言葉に反感を覚え、彼を睨む。

拓馬は肩をオーバーにすくめ、苦笑いを浮かべている。
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