わたしは年下の幼馴染に振り回されています
「まだ顔が赤いけど、大丈夫?」

 リビングに入ると、母親がそう話しかけてきた。

「大丈夫」

 拓馬は奈月となにやら話をしていた。わたしにあんなことをしてきたくせに、全く動揺していない。

 わたしがどれほど緊張しているのかわかってもいないのだろう。

 わたしはソファではなく、ダイニングテーブルに座ることにした。

「そこで食べるの?」

 母親の言葉に無言でうなずく。さっきの今で、彼と顔を合わせてケーキなんか食べていられなかったからだ。

「ケーキは何にするの? ガトーショコラと普通のチョコレートケーキとイチゴショートがあるけど」

 それを聞き、一つずつ脳裏にそのイメージを描く。奈月の言葉に反応したように、わたしは甘いものが好きなので、あっさりと決めることはできなかった。

「何でもいい」

「拓馬君と奈月は?」

「わたしはイチゴショート。お兄ちゃんはガトーショコラだって」
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