わたしは年下の幼馴染に振り回されています
 奈月が指差したのはいつもわたしの座っている席だ。

その隣には別の椅子がひとつ置いてある。いつもは奈月が座っている椅子だ。

 拓馬が母親に誘われ、奈月の椅子に座っているのを確認した。

わたしはそこまで行くと、拓馬の隣に座る。

わたしが拓馬と言葉を交わすまもなく、奈月と母親と父親が料理を並べてしまっていた。

 並んだメニューは鶏肉の甘辛煮に野菜のグリル、サラダにチーズグラタン、コンソメシープなど見ているだけでため息が出そうなものが並んでいた。

いつもより心なしか豪華なのは拓馬が来るからだろう。

それも拓馬が昔好きだったものばかりが並んでいる。

 わたしの母親は料理が得意だ。好きでもあるらしく、苦にならないらしい。

わたしからすると信じがたいことだが、本人がそう口にするならそうなのだろう。

「好きなものがあったら遠慮なく食べてね」

 そういうと、白いお皿を拓馬に渡す。

 彼は戸惑いながらもそれを受け取っていた。

そして、いくつかチョイスして皿に盛る。奈月や父親なども自分が食べたいものを自由に食べていた。
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