わたしは年下の幼馴染に振り回されています
 わたしは口直しを込め、注がれているお茶を口につける。

 一年と三年では学校の終わる時間も違う。

放課後、一年と同じ時間帯に終わることがあっても、拓馬がいるとは思いもしないわたしは彼の姿を探したこともなかった。

 そのとき、あることに気付く。それはわたしに限った話だったのだ。

だが、拓馬は同じ学校にわたしが通っていることを知っていたはずだ。

 わたしの学校は言葉通りの中高一貫制で、レベルも低くない。

高等部からの編入に限ってはかなりの難関だと聞いた。

そういう環境下であるので、中等部から入った人の多くが高等部に進学する。

 わたしと彼が最後にあったのは、わたしが中二のとき。

すなわち、今の学校に入学した後だった。

だから拓馬はクラスは知らないまでも同じ学校に通っていたことは知っていたはずだ。

それに奈月がわたしのことを触れなかったとも思えない。

彼はわかっていて会いに来なかったのだ。

 別にそれはそれでいい。

ただ、その事実を確認したとき、胸が痛んだのも事実だ。

「まだ体調悪いの?」

 わたしの箸の動きが止まっていたからか、母親が心配そうにわたしの顔を覗き込んでいた。

「大丈夫だよ。少し考え事をしていただけだから」
< 54 / 243 >

この作品をシェア

pagetop